企業分析のポイント
営業先が見つかったらまずは、そのお客様の企業分析を行いましょう。企業分析の目的は、お客様の事を少しでも訪問前に理解し効果的な営業を行うためです。企業分析が上手く行けば、これから始まる長い営業活動を効率的に進めることができるのです。
ドメイン事業・ターゲット事業は何か?
まずはお客様企業が何を生業としている会社か、そしてその中でもドメイン(中心)と思われる事業は何であるかを確実に把握しましょう。また、営業対象となるのが必ずしもドメイン事業とは限りません。自らが営業をかけるターゲット事業が何であるかを押さえることも重要です。
コアコンピタンスは何か?
ターゲット事業におけるコアコンピタンス(強み)は何かということも把握するようにしましょう。コアコンピタンスを支援・向上させることがお客様企業にとっての課題になっている場合が殆どですので、営業として押さえておくことは提案のコンセプトを決める上でも非常に重要です。
市場性はあるか?
ターゲット事業の市場動向は必ず押さえるようにしましょう。例えば、環境やバイオと言った業界は一昔前のIT業界のように見通しが明るいというデータがあります。こうした業界に属する企業に対しては初期投資としては高額契約に至らなくても後々大きな投資をいただける可能性を秘めています。こうした事を考慮せずに製品・サービスは定価でしか販売しないというスタイルは戦略性ゼロの営業で、いずれ自らの首を絞めることにもつながりかねません。
競合はいるか?
ここで言う競合とは、御社の競合ではなくお客様企業のターゲット事業における競合です。競合を複数社見れば、属する市場やトレンドが見えて来ますし、その中でのお客様企業の位置付けや乖離も把握することができます。
ニュースを確認する
お客様企業に関するニュースはできるだけチェックして営業に臨むようにしましょう。お客様企業のWEBサイトにあるニュースリリースをチェックするのはもちろん、Yahoo!やGoogleの検索窓に企業名を入れれば簡単にニュースを検索することができます。各検索エンジンにはニュースだけを検索するニュース検索という機能もあります。これにより、お客様のタイムリーな状況や評判を知ることができます。訪問時の会話のネタにもなります。
問題を仮説する
上記を全て終了したら、後は問題の仮説を行います。それだけの材料はこの時点で揃っていることになります。ただし、決めうちは危険ですので、あくまで仮説であるというスタンスを持って、一つではなくいくつか箇条書きするようにしましょう。ポイントは、問題を仮説するだけではなく、その問題に対して自社であればどのような提案ができるのかということを話せる準備をしておくことです。
財務状況はどうか?
高額商材を提案する場合に、上記と平行して最初に取り組まなければならないのが、この財務状況分析です。
営業に必要とされる分析は、本格的な企業財務分析ではありません。お金が払えるか否かを見るのが営業に必要とされる分析のポイントです。どんなに気に入っていただいても払えないものは払えない訳です。
そう考えた場合に押さえるべき財務分析のポイントは損益計算書(P/L)の「営業利益」「経常利益」「当期利益」の3点です。ここが全て黒字であれば、次にその黒字額を見て、提案システムを購入するだけの予算を捻出できそうかを判断します。システム投資額の常識は提案するシステムやお客様の業種により異なりますので、導入済みのお客様などの財務状況から平均値・常識というものを定義するようにしましょう。
問題は赤字の場合です。赤字だからと言っても単年赤字なら戦略的赤字という場合があります。また、キャッシュフロー計算書(C/F)を見て、営業及び財務キャッシュフローが潤沢にある場合にはやはり投資できる状態にあるという見方もできます。この場合には短期負債の額を貸借対照表(B/S)で確認する場合があります。少なければ費用を捻出できる可能性が高いと言えます。