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法人営業成功の秘訣



第1回 法人営業はなぜ難しい?


法人営業をはじめたばかりの方々に「法人営業ので受注する上でのポイントは何だと思いますか?」と質問すると、多くの人が「とにかく良い提案を行うこと。」と回答します。

一方、法人営業で結果を残してきた方々に同様の質問をすると、この回答は返って来ません。結果を残して来た方々からすれば「良い提案」というのは“当たり前”のことなのです。これは、野球の監督に「試合に勝つ上でのポイントは何だと思いますか?」と言ったときに「とにかく得点することorとにかく0点に抑えること。」と答えているのと同じくらい当たり前のこと、つまり最低条件なのです。

野球の例を挙げましたので、そのまま続けますと、一流の野球監督に同様の質問をした場合には「自軍と対戦相手の選手個々の能力を見極め、試合展開に応じて適材適所・総合力で戦う事。」という回答が返ってきます。実は法人営業にもほぼ同じ事が言えるのです。法人営業に言い換えると「自社の強みとお客様のご要望を見極め、営業展開に応じて適材適所・総合力で営業すること。」と言った感じです。

法人営業と野球が似ていると申し上げている訳ですが、この2つの戦いに共通したことは何でしょうか?

それは、「組織を相手にする」ということです。

企業も野球チームも一人で構成されている訳ではなく、多くの人々で構成されています。この組織体が試合に勝つ際、つまりモノを購入していただく際というのは、一対一の勝負に勝つ以上に難しい要素があるのです。

清原と桑田が対戦した際に、例え桑田が清原から4打席連続で三振に打ち取ったとしても、試合に勝てる訳ではありません。

清原の他にも秋山がデストラーデが石毛がいる訳です。(古い時代の話ですいません。)
結局彼ら全てを打ち取らないと試合には勝てないのです。

法人営業に置き換えれば、決裁という言葉を聞かれた方もいらっしゃるかと思いますが、組織でモノを購入する際というのは、購買の決裁(承認)というものを受けなければなりません。そのために購買決裁稟議を回す必要があるのです。

一般的な例を挙げれば、下記のような稟議階層になっています。

担当者(起案)→課長(承認)→部長(承認)→担当役員(承認)→社長(決裁)

つまり、バッターは一人ではないということです。この稟議階層にいる社員ひとり一人に受け入れて頂かなければ基本的には受注は無いのです。正にこの「組織を相手にする」ということが法人営業を難しくさせている最大の理由です。逆に言えば、この組織の攻め方さえものにしてしまえば、あとは当たり前の「良い提案」をしていけば必ず受注できるようになります。

また、ピッチャーにも先発と中継ぎ・ワンポイント、そしてセットアッパーとクローザーがいるように、法人営業をかける側も営業マン単体で臨むのではなく分業制をかけた方が良い場合が多いのです。(先発完投型を推奨する組織もありますが。)

この連載では、「組織への営業方法」をテーマとして、法人営業が押さえるべきポイント・コツと言ったノウハウを8回に分けてご紹介いたします。

次回は、法人営業初心者の営業担当者が最も陥いりやすい事柄を「担当者合意のワナ」と題してご紹介いたします。是非ともご期待下さい。